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円形脱毛症、若年性脱毛症、アトピー性皮膚炎等における漢方薬での治療について

当院に来られる患者さんの中には、円形脱毛症や若年性脱毛症、アトピー性皮膚炎の治療をするために、過去数えきれないくらいの治療法をいろいろな病院・医院で試してきて来られた方が数多くいらっしゃいます。そういった患者さんの多くが、ステロイドによる病状悪化や他の病気の併発などを避けるために、ステロイドを使用しない治療法を求めて、漢方での治療をうたった皮膚科などへの通院をされた履歴をお持ちです。

鍼灸を専門に東洋医学を得意としている立場から見ますと、やはり西洋医学を基本とする皮膚科での漢方薬の投与には問題がある場合も多く見られます。これは、漢方の薬の調合方法と西洋医学での薬の調合に対する見方が根本的に異なっていることから発生する大きな間違いなのですが、悲しいかな実際に薬を処方する皮膚科や内科を含め専門医の先生は気づいていないという現実が多くあります。今の医療では、漢方薬の処方にあたって、漢方薬の専門知識が正しいかどうかに関わりなく、医師免許を持っていれば処方自体は可能になっています。しかし、漢方薬は、正しい診察、正しい知識があって初めて処方が可能なのです。漢方の正しい知識がないまま処方を行うことは、患者さんに多くの副作用をもたらすだけなのです。

患者さんの立場から見て、今の漢方薬が本当に治療につながるかというのは、非常に重大な問題です。ですので、簡単に正しい漢方の処方がされているか見分ける方法をお伝えしたいと思います。

1.エキス顆粒を複数処方されていませんか

漢方製剤のエキス顆粒は、複数の生薬を一般的に効果があるとされる目的で処方されています。つまり、1つのエキス顆粒は1つの症状に効果があるよう最適に組み合わされているものです。そういったエキス顆粒を複数組み合わせることは、効果が相殺されて効果がなくなったり、逆に症状をひどくする可能性があります。

円形脱毛症や若年性脱毛症、アトピー性皮膚炎の治療として漢方薬を選択する場合、治療に効果のある漢方薬を使う必要があります。「効果のある漢方薬」というのは、症状に合わせてこまめに生薬の組合せや配合を変えなければなりません。ですので、2~3ヶ月の間、同じ薬を処方することはありません。こまめに症状によって変化させるため、「煎じる」というのが基本です。エキス顆粒は、手軽に服用が出来ますが、患者さんの症状に合わせて生薬を組み合わされたものではありませんので、効果が出にくいといわざるをえません。そういったエキス顆粒を、さらに複数組み合わせるということは、漢方の処方とは根本的に異なるものです。治療どころか、かえって悪化することすらあります。

いわゆる西洋医学での漢方薬の処方で良くあるのが、以下に示すように、それぞれの薬材が持っている効果にのみ着目して、薬材を組み合わせる考え方で処方するやり方ですが、これは漢方薬の処方の考え方とは根本的に異なるものです。

正しい漢方薬の処方に基づいていない例1
処方例1

正しい漢方薬の処方に基づいていない例2
処方例2-1 処方例2-2 処方例2-3

2.生薬の材料は確かなものですか

漢方の生薬の原材料は、輸入されているものです。農薬による土壌汚染などで良質な生薬は減少してきています。生薬の効果をごまかすために、ステロイド剤や抗生物質を生薬に漬けている「まがいもの」も存在しています。

漢方の生薬は、中国四川省のものが最良ですが、欧米での漢方のブームもあり市場に出回っている良質なものは減ってきているのが現状です。農薬による土壌汚染の問題もあり、日本で生薬の原材料である植物の栽培なども始まっていますが、やはり気候や湿度などの問題で、生薬としての効能は期待しにくいものとなります。そういった状況では、漢方薬での治療というのは年々難しくなってきているといわざるをえません。

3.正しい診察を受けていますか

漢方の処方にあたっては、舌や脈をみたり、お腹を触診したりという診断が必要です。

漢方では、「見る・聞く・嗅ぐ・触る」といった五感を使って患者を診察していく「四診(ししん)」という診察をします。こうした診察の結果、「証」という漢方的な診断がなされ、その証に基づいて薬が選択されます。漢方を処方するにあたって、こうした診察がない場合は、正しい処方がなされていないことも考えられます。特に、最近では漢方の専門医でも電話だけで実際に会って診察することなく、薬を処方・郵送する場合があります。しかし、漢方薬の正しい診察として「見る・聞く・嗅ぐ・触る」といった実際に合った診察をする必要があります。これは、症状の状態に合わせて、薬材を加減することにより治療を行っていくためです。その観点からすると、電話だけでの診察は正しい診察とはいえず、副作用の出やすい状態となります。また、処方された漢方薬が2~3ヶ月以上に渡り、薬材の加減をされずに全く同じものである場合も、症状に合わせて処方されておらず、場合によっては副作用がでてしまいます。

当院では、漢方での治療を考えられている患者さんに、鍼治療でも十分に漢方と同じ効果があることを説明して治療にあたっております。

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